前回では関係代名詞who, which, thatの基本用法を検討し,また関係代名詞を用いて2文を結合するときの手順についても考えました。今回はまず,関係代名詞として、
①特にthatが用いられる場合について検討し, ②次に関係代名詞の限定用法と継続用法の2用法について考え, ③また関係代名詞whatの用法と、それを用いた慣用表現についても扱います。
特にwhatはそれ自体に先行詞を含んだ独特な関係代名詞で,皆さんにはわかりづらいものなので,気を付けましょう。
【1】The man and the horse that fell into the river were drowned.
先行詞が(人)の場合はwho [or that] が用いられるが,先行詞が〈人十もの〉のときにはthatが用いられます。
【2】This is the most interesting book (that) I have ever read. 【3】This is the very book (that) I have been looking for.
.先行詞に①最最上級の形容詞、②the only, the very, the first, the last ③ all, any, every などの「限定性の強い修飾語」 (一つに決まるので、何を指しているか相手に伝わりやすい)がついたときも,関係代名詞はthatを用います。例文【2】では先行詞に、the most interesting という最上級の形容詞が,また例文【3】ではthe very~(まさにその~) という修飾語がついているので,関係代名詞thatが用いられています。この関係代名詞が目的格のときは・ほかの場合同様、省略されることも多いです。
【4】He had two daughters, who became teachers. (継続用法) 【5】He had two daughters who became teachers. (限定用法)
ここでは関係代名詞の限定用法と継続用法について検討します。そのために例文【4】と【5】の違いについて考えてみます。例文【5】ではwho以下の関係代名詞節は先行詞 two daughters を限定的に修飾していて、「教師になった娘が二人いた。」の意味を表しています。この場合、教師にはならなかったが別の職業についた娘がほかにもいた。という含みがあります。【4】ではwhoの前に「,」があり、いったんそこで文が区切られていて、who以下の関係代名詞節は 先行詞 two daughtersについて補足的な説明を付けているだけです。「娘が二人いて、その二人は教師になった。」となりますが、この場合娘は二人しかいなかったことになります。例文【5】のように,関係詞節が先行詞を限定的に修飾する用法を限定用法といいます。
一方,例文【4】のように,関係詞節が先行詞のあとに付加的あるいは挿入的に置かれて,その補足的な説明をする用法を継続用法といいます。継続用法は,書くときにはふつう関係代名詞の前にカンマが置かれて,限定用法との区別が示されます。また継続用法の関係代名詞は「接続詞十代名詞 (=and/but/because, etc.十代名詞)」の形に置き換えられることが多い。たとえば例文【4】は, He had two daughters, and they became teachers.
とすることができます。
継続用法に用いられる関係代名詞は who, whose, whom とwhich だけで、that にはこの用法はありません。 【6】His father, whom he didn’t remember well, was a pilot.
また関係代名詞の継続用法では,参照例文第【6】のように関係詞節が文中に挿入されることがあります。この場合は,関係詞節が文末に置かれたとき(例文59のような場合)とは違って,関係代名詞を「接続詞十代名詞」で置き換えられないことが多い。普通関係代名詞の目的格は省略することができますが例文【6】 のように継続用法に用いられた目的格に限っては省略することができないので注意してください。
また関係代名詞の継続用法では,参照例文【6】のように関係詞節が文中に挿入されることがあります。この場合は,関係詞節が文末に置かれたとき(例文【4】のような場合)とは違って,関係代名詞を「接続詞十代名詞」で置き換えられないことが多いです。
【7】I don’t like what she says.
whatはそれ自体に先行詞を含んでいる関係代名詞で,the thing(s) which または that which, those which と置き換えて考えられます。例文【7】も次のよにして考えればよくわかります。 l don’ t like the thing which she says。 このようにしてみれば, whatが関係詞節中の動詞saysの目的語となっており,その関係詞節自体は文の動詞likeの目的語になっていると考えるとわかりやすいです。このように関係代名詞whatは,関係詞節中で主語・目的語・補語の働きをし,またwhatに導かれた関係詞節は名詞節で,文中で主語・目的語・補語として機能します。 これは中学で学んだ「間接疑問文」と全く同じことです。疑問文 What does she say? (彼女は何と話してますか。)これを間接疑問文にして →what she says これを Idon’t know の後ろに付けて ,knowの目的語にすると、 I don’t like what she says (彼女が何を言っているのかわかりません。)こんなふうにできましたね。これは「彼女の言っていることが分からない。」と和訳できます。
【8】He is not what he used to be.
以下例文【10】までは。関係代名詞whatを用いた慣用表現(熟語)について扱います。例文の used to は過去の状態を表して He used to be ~で「昔は~であった」の意味です。したがって what he use to be は「彼が昔そうであったところのもの」つまり「昔の彼」という意味でこの what は関係詞節中で補語になっています。(SVCの文)同じように,たとえばwhat he is とすれば「現在の彼」となりwhat he was ten years ago とすれば「10年前の彼」となります。
【9】She is what is called ( what you call) a grown-up baby.
本例文の関係詞節what you call a grown-up baby は, whatがcallの目的語,a grown-up baby が目的格保護の SVOC文型になっています。(you call~ a grown-up baby) 直訳すれば「あなたが大人の赤ん坊と呼ぶもの」となり、ここから「いわゆる」の訳語がでてくるわけです。 このyOUは「一般の人々」を指す総称人称で,これをweやtheyに替えても同じ意味を表しますし,またこれを受け身にしてwhat is called としても同じです。 what is called~= what you ca l=「いわゆる~」 で覚えてしまって差し支えありません。
【10】His father died , and what was worse, his mother fell ill.
「what is十比較級」が挿入句として用いられて,「さらに~なことには」の意を表す。 本例文【10】は比較級のところにworseが用いられた例ですが,ほかの例をいくつかあげておきます。
〔例〕ltくis a useful book, and what is more 〔=what is better〕, it is quite cheap. (それは有益な本だし,おまけにとても安い)
He said it, and what was more surprising, he did it himself. (彼はそう言ったし,さらに驚いたことには自分でそれをやったのだ)
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