今回から3回にわたって関係詞について検討しまよう。関係詞は,ふたつの文をひとつに結びつける働きをするもので,これには関係代名詞と関係副詞がありますが,この用語中の「関係」は「接続詞」と読みかえても差し支えありません。つまり,関係代名詞は「接続詞+代名詞」の,関係副詞は「接続詞+副詞」の役割をし,名詞のあとに置かれてこれを修飾する形容詞節をつくる。このとき修飾される名詞を先行詞と呼びます。
関係代名詞については,生徒の皆さんも中学で、ある程度学んできたと思います。ここではその基本的な用法を確認し,またいくつか注意しなければならない事項を扱い,さらに関係代名詞のwhat、そして、ほとんどの生徒にとっては初めての,関係副詞の用例について検討します。 関係代名詞のwho, which, thatおよび、What。また関係副詞のwhen, where, why, howの使い分けも重要ですが、関係代名詞と関係副詞の使い分けにも紛らわしいものがあるので注意させなければなりません
まず,関係代名詞 who, which, that の基本用法についてです。
関係代名詞whoは先行詞が〈人〉の場合に、whichは先行詞が(もの)の場合に用いられます。 that は先行詞が〈人〉の場合にも(もの)の場合にも用いられます。 なお先行詞が<人以外の動物の場合も(もの)として扱います。
また関係代名詞には主格・所有格・目的格があり,関係代名詞がその導く節(関係詞節)の中で主語の働きをする場合は主格,所有格の働きをする場合は所有格,目的語の働きをする場合には目的格が用いられます。以上をまとめて表にすると次のようになります。
【1】 We need a person who (that) speaks English.
例文【1】は次の2文を以下の手順で結合したものです。 ① We need a person. He or she speaks English.
→② We need a person. who speaks English.
→③ We need a person who speaks English.
2文を関係代名詞を用いで結合するときは,ふたつの文に現れる同一人物,または同一物を捜し,その一方を先行詞とし他方を関係代名詞に代えて1文にする。ここで①ではa personとHe or she が同一人物であり,Heは主語となっているのでこれをwho〔or that〕に代えて②を導く。そして②のwho以下の文を先行詞になるa person のあとにつづけて③の文を導き,これで関係代名詞による2文の結合が完了する,。(この③の文=例文【1】)で関係代名詞whoは①に示したふたつの文を結びつける接続詞の働きと,関係詞節中で主語となる代名詞の働きをしています。
【2】The book which (that) is on the desk is mine.
例文【2】では先行詞が(もの)で、関係代名詞が関係詞節中で主語になっているので, which 〔or that〕が用いられています。これは次の2文を結合したものです。
① The book is mine. It is on the desk。
ここで, The book とltは同一物であり,ltは文中で主語になっているからこれをwhich
〔or that〕に代え,次の②を導きます。
→②The book is mine. which is on the desk。
最後にwhich以下を先行詞となるThe book のあとにつづけて1文とし,結合が完了します。
→③The book which is on the desk is mine。
【3】This is the girl whom (that) I met yesterday.
本例文では先行詞が(人)で,関係代名詞が関係詞節中で目角語の働きをしているので,目 的格の関係代名詞whom [or that〕が用いられています。関係代名詞り表にも示毛次恚おり,目的格の関係代名詞は省略されるのがふつうです。 また省略されな匐場合でもy。whomはきわめて文語的なので口語ではほとんど用いられず,代わりにthatが多く用いられ,whoが用いられる二ともあります。ただし、PCでのj-works高校英文法ではwhomの代わりに用いられるwhoを主格のwhoと混同して生徒の皆さんが混乱するのを避けるために,目的格whoについての記述はいっさい省きました。また現段階では,目的格のwhoを生徒の皆さんが知らなくても,ことは十分に足ります。
例文52は次の2文を結合したものです。
①This is the girl. 1 met her yesterday。
ここで, the girl とherは同一人物であり, herは文中で目的語になっているので,これを whom[or that〕に代えて②を導きます。
→②This is the girl. l met whom yesterday。
この2文を1文にするわけですが,これをこのまま結合するとThis is the girl l met whom
yesterday。となって正しい英文とはなりません。それは,「関係代名詞は義務的に関係詞節の節頭に置かれる」という規則があるからです。そこで,この規則に従い次の③を導きます。
→③This is the girl. whom l met yesterday。
最後にwhom以下を先行詞the girl のあとにつづけて④を導きます。
→④This is the girl whoml met yesterday。
これで結合が完了したわけですが,目的格の関係代名詞は省略可能だから,④は当然,次の⑤としても同じです。
→⑤This is the girl l met yesterday。
【4】The story (that) he told me was very interesting.
本例文では先行詞が(もの)で,関係代名詞が関係詞節中で目的語となっているので,目的格のwhich〔or that〕が用いられています。本例文は次の2文を結合したものです。
①The story was very interesting. He told = me the story.
ここで第1文のThe story と第2文のthe storyが同一物で, the story は文中で目的語になっているから,これをwhich。〔or that〕に代えて次の②を導きます。
→②The story was very interesting. He told me which .
そして,例文52で述べたように,「関係代名詞は義務的に関係詞節の節頭に置かれる」から,
この規則に従い次の③を導きます。
→③The story was very interesting. which he told me.
最後に,このwhich以下を先行詞となるThe storyのあとlこつづけて次の④とし,文の,結合が完了します。
→④The story which he told me was very interesting。
そして,目的格の関係代名詞は省略可能だから,④は当然次の⑤のようにすることができます。
→⑤The story he told me was interesting.
【5】I know a girl whose mother is a musician.
例文【5】では所有格の関係代名詞whoseが用いられて:います。 whoseを用いて2文を結合する場合には,先行詞を受ける所有格の代名詞を捜し,それをwhoseに代えて1文にすればよいのです。たとえば例文【5】は次のようにして2文が結合されています。
①l know a girl. Her mother is a musician.
→②l know a girl whose mother is a musician.
ここで,①では-giril と Her, が同一人物を指していて, Herは所有格なのでこれをwhoseに代えて②whose以下の文を先行詞になるa girl のあとにそのままつづけて例文【5】ができます。
【6】The man whose car you borrowed needs it tomorrow.
一方,例文【6】はいささか面倒です。これは次の2文が結合されたものです。
①The men needs his car tomorrow. You borrowed his car.
ここで先行詞となるThe man を受けているのは,第2文のhis(所有格)です。そこでこれをwhoseに代えて②を導きます。
→②The man needs his car tomorrow. You borrowed whose car.
そして「関係代名詞は義務的に関係詞節の節頭に置かれる」という規則に従い次の③を導きます。 →③The man needs his car tomorrow. whose car you borrowed. ここで注意しなければならないのは、移動されるのがwhoseだけでなく、carも一緒だということです。これは whose car が2語でひとまとまりの意味を表しているからです。そしてこのwhose以下を先行詞the man のあとにつづけて④を導きます。
→④The man whose car you borrowed needs his car tomorrow.
ふつうはこれで結合が完了するが,ここではhis car=whose car なので, his carをi t に代えて,
→⑤The man whose car you borrowed needs it tomorrow.
として,最終的に例文【6】が導きだされています。
例文【5】 ではwhose mother が主語の働きをしているが,参照例文で【6】では whose car ‘が関係詞節中で動詞borrowedの目的語になっていることにも注意してください。
【7】The building whose roof is red is the post office.
例文【7】は,次の2文を以下の手順で結合したものです。
①The building is the post office. Its roof is red. ここでThe building と it は同一物ですから,itsをwhoseに代えて次の②を導きます。 →②The building is the post office. wh→ose roof is red.
そしてこのwhose以下を先行詞となるThe buildingのあとにつづけて1文とし,結合が完了します。 →③The building whose roof is red is the post office.
【8】The building the roof of which is red is the post office.
一方,例文【8】は,次の2文を以下の手順で結合したものです。
①The building is the post office. The roof of it is red. ここでThe buiding と itは同一物ですから,itをwhichに代えて次の②を導きます。
→②The building is the post office. The roof of which is red。
そして, The roof 以下を先行詞となるThe building のあとにつづけて1文とし。文の結合が完了します。
→③The building the roof of which is the post office. ここで。the roof of which がそのままの形で the building の後ろにつくのはthe roof of which がひとまとまりで関係詞節中の主語になっているからです。
【9】This is the girl whom (that) I sporke of the other day.
例文【9】は関係代名詞が前置詞 of の目的語になっている場合です。これは次の2文を結合したものです。 ①This is the girl. 1 spoke of her the other day. ここで, the girl とherは同一人物で、herは 前置詞Of の目的語になっているから,her をwhomに変えて②を導きます。 →②This is the girl. I spoke of whom the other day.
さらに「関係代名詞は義務的に関係詞節の節頭に置かれる」という規則に従って,次の③を導きます。
→③This is ・the girl. I spoke of the other day。 ・・’
そして,この whom以下を先行詞となるthe girl のあとにつづけて文を結合します。
→④This is the girl whom l spoke of the other day。 ここで,目的格の関係代名詞は省略可能だから,④を次の⑤としても同じです。→⑤This is the girl l spoke of the other day. また、前置詞はその目的語となる語の前に置かれるのがふつうだから,先の④でofをwhomの前に移動して次の 【10】のようにすることもできます。 【10】This is the girl of whom I sporke the other day.